白洲信哉 SHIRASU SHINYA OFFICIAL WEBSITE


平成22年8月30日(月)
週刊ポストに《白洲信哉 ニッポンの神仏 連載第32回 〜地域住民に愛される日本最古の三尊石仏〜》が掲載されました。





平成22年8月27日(金)

 十一面観音は
 さまざまなものに
 変化する

 観世喜正氏にお会いする。最後のお願いだ。白洲展の展覧会の趣旨などお話すると、翁面を出してくださる。たっぷりとして彫りの深い、いい面である。「神と仏、自然への祈り」という展覧会には欠かせないと思う。喜正氏は矢来能楽堂の舞台に面をお持ちになり、舞台でみるとまた違ってみえる。毎年新春の舞台開きにこの面をつけて舞うそうだ。

 仏像は拝むもの、骨董はつかうもの、面は被るもの、当たり前のことだがモノへの愛着や信心がなくなれば、国宝の観音像もただのオブジェにすぎない。ご神木も人から祈られることで、カミが宿るのである。ただの大木との差は、人々の愛情の差で、日本のものはその傾向が強いように思う。

 夕方、嬉しい連絡を頂戴する。笠井さん、大変お世話になりました。


 支持率10パーセントにも満たない新総理が誕生する。もう逃げていられなくなったのだろう。大人の解決もできず、適切な経済へのメッセージも出せず、ただ集まって「検討」している。まだ「やるやる」と言っていた前政権のほうが少しはマシと思う。寂しいことだ。

 地位が器をつくるというけど、やっぱり元の器がないものには駄目なのであろうか。危機的な、と叫ぶだけで官僚のレールを歩いているだけ、レールを歩くのが苦手な東北の駄々っ子のほうがいいかもしれないとも思う。でも、ちょっと騒ぎすぎじゃないかな。政権与党が分裂なんかするわけないでしょう!小選挙区というのはそういう制度なんだから、選挙一番の議員の判断はそこにしかないのです。

 昨日の小沢氏の講演で出馬表明をしなかったことばかり報道しているが、「米国は単細胞」とか「英国人は嫌い」とか、全体の趣旨がわかないけど、そんな発言のほうが問題なんではないだろうか。お金も問題なんかより、基本的な人間として、政治家としての資質に欠けているように思う。個人的な意見は尊重するが、少なくても公の場で言うべきことではない。

 しばらくはただの政治感覚ゼロの市民運動家と、政治屋的プロの喧嘩にならない喧嘩をみせられるだけ、、、、わが国のインテリジェンスは死んだのであろうか。





平成22年8月25日(水)

 火がつけられた。
 

 京都市北部、広河原の松上げと久多の花笠踊り、どちらも十年ぶりに行く。先日もこの辺りをうろついたが、その時よりも蒸し暑かった。今年の残暑は厳しいだろう。

 この十年ほど、祖母が歩いた場所をめぐってきたが、大きく変貌した土地も数多くあった。時代の変化で致し方ない思うこともあるけど、山奥の素朴な信仰は四十年前の記述そのままだった。

 突然、目の前がひらけて、夢のような光景が現れた。正面の山から、前の田んぼにかけてまばゆいばかりの火の海である。その間を松明をかかげて、おそろしい勢いで火をつけて回る人影が、まるで火天か韋駄天のように見える。夢ではないか、狐につままれたのではないかと、私は何度も目をこすった。

 近づいてみると、一間おきぐらいに、丈の高い松明ようのものが立ち、それが何千となく野山を埋めている。今、その「地松」に、いっせいに点火したところであった。暗くてよく見えないが、田んぼの先に川があり、その向こうが山で、橋から先は聖地になっていて、一般の人は入れない。やがて、太鼓が鳴りわたり、急調子に変わるとともに、「松上げ」の行事がはじまった。

 それはほんとうの「松あげ」であった。聖地の中心に、二十メートルもある「灯籠木」をたて、その天辺に大きな籠がとりつけてある。籠の中には薪が詰めてあって、それを目がけて周囲から、火種をほうりこむ。火種は「松のジン」といって、油の多い松の心を、丸くたばねて紐がついている。その紐をにぎって、ほうりあげるいのだが、何せ高いので中々うまく入らない。たまに入っても、消えてしまう。その間神主さんはお宮の中で祈っているというが、昔は朝まで火がつかないこともあって、そんなときは河原へ下りて禊を行ったという。

 そんなことにならなければいいがと思っていると、そのうち一つがおさまって、くすぶっていたが、いきなりぱっと燃え上がった。拍手が起こる。歓声があがる。拝んでいる人もある。正に神様の御降臨だ。そうとしか言いようのない風景で、ひとしきりざわめいた後、奇妙な沈黙がおとずれ、薪のはぜる音があたりを圧し、盛んな火災が夜空を焦がす。それも数分のことで、大きく火の粉が舞い上がったとみるや、地ひびきを立てて灯籠木が倒れ、そのまま地上で燃え続ける。そうして天から降った神様は、地に落ち着き、豊作を約束して下さるのであろう。祭りに参加した村の人々は、神火のもとで勢揃いし、木やりを歌いながらゆっくり引き上げて行く。折からのぼった月に照らされて、これはなんともいえず気分のよいものであった。観光とはまったく関係のない自分たちだけのお祭り、太古のままの火の行事は、私が見た多くの祭りの中でももっとも感動にみちた光景だった。

「白洲正子 かくれ里 山国の火祭」

 朝起きて昼過ぎに東京へ戻ってきたが、同時代とは思えない都会の風景。新幹線のなかで読んだ「数学とは情緒である」という岡潔さんの言葉が気になって仕方がない。


 入った。ついた。
 


 倒れる。
 


 倒れた籠松明と
 格闘する村人





平成22年8月23日(月)
週刊ポストに《白洲信哉 ニッポンの神仏 連載第31回 〜熊野古道の守り神〜》が掲載されました。





平成22年8月18日(水)
 軽井沢も暑い。蒸す。汗をかくので仕方なく毎日シャワーを浴びている。今年猛暑なのは頷けました。

 ここに来る前、世田谷美術館で開催されているヴィンタントウール展にいってきた。なかなか粒ぞろいのいい展覧会でした。オルセーはこれからもみる機会があると思うけど、スイスの片田舎の美術館なので、僕は行くことはないと思うし、もう日本に来ることもないとう触れ込みだ。

 ドガやルノアールが彫刻をしているとは知らなかった。馬なんてドガのデッサンのそっくりだし、裸婦はルノアールのふくよかな女性だった。反対に?ジャコメッテイが油絵を描いていた。一流の人はなにをやっても上手いんですね。ゴッホの郵便配達もはじめてだった。ここのコレクションにはなにやら通観しているものがあるようだ。ロシアのヤウレンスキ-。一枚しか展示がなかったけどもっとみてみたい人、カンデンスキーの友人だそうだ。

 こんな話を軽井沢でしていたら、現地に行ったことがある瀬津一家は、「あそこの地下室にあるクレーのコレクションは凄かったねー」と。特別に拝見したそうだ!

 これは初めてMacを使って書いている。ワードとかはダメだけど「勝手に電波をひろってくれる」という茂木さんの言葉は嘘ではなかった。だからなにもしなくてもつながっている。去年、軽井沢では電波が弱くて困ったけど快適である。茂木さんからツイッターのやりかたわかったか?と聞かれたけどそちらのほうは相変わらずである。





平成22年8月15日(日)

 再び三上山
 

 お盆休みなのだが、今年は東京にいる。秋に開催される展覧会、とんぼの本、家庭画報のまとめなどやることが多く・・・とんぼの金川さんは胃がおかしくなり、NHKの田中さんはぎっくり腰。みんな暑い、いや熱い夏を過ごしている。

 昨日の茂木さんの日記にあるバブルにはとうてい及ばないけど、あれだけの仕事をよくこなすと本当に感心している。内田樹さんのブログをはじめて拝見。僕は彼らほどの依頼は来ないけど、内田さんがいう「狭量なる人間」に非常に近い。初対面で名前に「州」と三水がない依頼がくれば返事しない。わずかしか出ていない本を読んでいない人は内田さんと同じく論外。僕は講演で目の前で寝られたら起こすけど、いい仕事というのはキャッチボールのなかで生まれていくものだと思う。内田さんが「読みたい本を読まず、見たい映画も見ず、会いたい人にも会わず、稽古も休み、旅行も諦め…」同感である。最後の伊丹氏の受け答えは痛快だ。まあ、一生に一度くらいは味わってみたいものだが無理であろう。

 三井記念美術館に「会津八一展」を見に行く。今週は遅くまでやっているので空いていると思ったら、お盆で道まですいていた。中宮寺の半跏像も室生寺の釈迦如来もなかったけど、ゆっくり拝見できる。五劫思惟阿弥陀如来座像は「なにこれ」と僕も思った。檜の一木とあり二度驚く。鎌倉時代になると技巧が過剰になるきらいがあるけど、ここまでくるとは恐れ入った。法隆寺の天蓋はやっぱりいいね。あれなら家における。

 調べものがあって有栖川の都立図書館へ行った。久しぶりに入ったら、どうも景色が違う。目録の棚がなくなりパソコンが並んでいる。前もって欲しい本の目録をコピーしておいたので、どこに出すのかと案内のかたに聞いたら、あそこのパソコンで番号をいれてください、という。「では紙はどこに?」というと「飛んでいきますから!」という。「飛ぶ?」「紙が飛ぶ???」わけわからない顔をしていたのか、やってくれた。そして「あのボードの番号が出ますから」と。いやいや驚いた。昔はコピーしてもらったのだが、自分でコピーをして帰る。

 今年は日韓併合100年ということで、政府はお詫びとなにやら資料を返還するとの総理談話。未来志向というけど、過去にはかえれないのだから、未来というの当たり前の話だ。こちらが加害者であちらが被害者 というのも事実。でもそれ以上ではないと思う。戦争とはそんなに簡単に論じることができないもので、いくら真摯に対応して理解得られるものではない。

 あの資料がどこだけのものかしらないが、賠償問題は解決しているから返還ではなく、差し出すのだそうだ。言葉の遊びをやっているのではない。占領下の得たものを返していたら、世界中の名のある美術館はなくなってしまうし、一度火がつくと要求はずっと続くから、欧米はしらぬぞんぜずと通しているのであろう。ほんとに大人の対応だ。そのうち「秀吉が朝鮮出兵で侵略したときに奪った井戸茶碗を返せ!」といいかねない。相手の機嫌を考えるのではなく、ユーロのような壮大な未来を目指して欲しいものだ。

 明日から勲に呼ばれたので軽井沢にいってくる。井戸茶碗と同じ時代の三島の茶碗を買ったそうだ。


 丹生都売神社本殿
 





平成22年8月9日(月)
週刊ポストに《白洲信哉 ニッポンの神仏 連載第30回 〜円空が験力を備えた地〜》が掲載されました。





平成22年8月8日(日)

 天野
 丹生都売神社

 ポストの面々とは酷暑の名古屋で別れ京都へ。名古屋の雲が綺麗だった。

 京都駅前のホテルで陶芸家の福森さん、染色家と陶芸家半分づつの?菅原匠夫妻、編集の押鐘さんとフランス在26年の武田カメラマンと待ち合わせる。京都北部美山の美山荘へ。川に面した縁側が気持ち良かったので、福森さんとビールを注文。するとアルコールが駄目な武田さんが、「ここはビールのCMで使われていませんか?」という。日本にいないのにプロのカメラマンは見るところが違う。気持がよく縁側で朝まで寝た。

 美山は過し易いのでずっと居たかったが、そんなこと許されるわけはない。滋賀、奈良、和歌山各地のかくれ里を周り伊賀の福森邸へ。帰省がはじまっているらしいが、故郷をもたない僕にとってはある意味の故郷である。はじめて中学の時に伺って、井戸のあたりにお供えして、その横で焚いた火が印象的だった。なんで火をと福森さんに聞くと「ご先祖様が迷わないように目印なんだ」と。そのときは何のことかはっきりしなかったが、日本のお盆の強烈なワンカットとして僕の胸に強く刻まれた。年を追うごとに、都会育ちでは味わえない、生活に密着した歴史を羨ましく感じる。詳細は家庭画報11月号をお楽しみに!


 再び檜原神社から
 二上山をのぞむ


 伊賀 福森邸
 日本一のヒレ肉





平成22年8月3日(火)

 須須神社
 神像

 イヤー暑いですね。今週は取材が重なって旅に出ている。

 羽田で小学館の太田さんと、「反省だけなら猿でもできる」という文句の団扇を扇ぐ酒井さんと会い、飛行機で輪島に飛ぶ。珠洲の須須神社へ。猿女さんという凄い名前の宮司様に収蔵庫の扉をあけて頂く。表情豊かな五体の男神像。鎌倉時代というけどヒノキに彫られた一品で、狼煙の地に相応しい守り神だ。

 高岡に移動して二上射水神社へ。このあたりの山で枯れた木が目立つので伺ってみると、樫とかにつく虫がこの夏から猛威をふるって枯れているそうだ。松食い虫が十年来はやっていたが、森でなにかが起きているのかもしれない。

 鉈彫りの男神像にはほれぼれした。速玉の神像にもまけない威厳と風格に溢れている。神像は仏像に比べて地味な存在だが、もっともっと見直されるべきだ。仏像とか神像とかこれは勝手につけた名前で、彫る側にはただ強い信仰があっただけなのだ。魂がこもった像だった。


 名古屋市長である旧知の河村さんが戦っている。品がいいとは言えないけど、やっていることには基本的に賛成だし、もっと戦う首長がでてこないとならない。独裁者ははやらないけど、ここまできた自治体の議員とか職員とか、かれらに任せてはおけない。ただ「流れ」に任せているだけなのだから、なにもする気はないし、現状維持の素晴らしくよくできた組織である。民主主義は一人一人の市民が声をあげないと変わらないという面倒な体制だけど、声をあげたら変わるのだ。阿久根市政のことは不案内だが、体制の変革にはいろんなかたが出てきたほうがいいと思う。地方議会というのは見識ある横丁の隠居が、なにかあったときに意見を言うくらいでいいんじゃないかな。すくなくても職業でやるべきじゃない。


 二上射水神社
 男神像


 富山 日石寺
 不動明王
 これも含めポストを
 お楽しみに





平成22年8月2日(月)
週刊ポストに《白洲信哉 ニッポンの神仏 連載第29回 〜修験者が洞窟から見た景色〜》が掲載されました。





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